スペシャルコラム

川鶴晃裕

お気に入りの役者さんは、どちら?

俳優・川鶴晃裕

KAWATSURU AKIHIRO - ACTOR

「テレビる毎日」10周年、おめでとうございます。創立の1997年と言えば、まだまだ日本はパソコンやインターネット接続が本格的に普及する前で、OS は「ウィンドウズ95」で、 CPUが「ペンティアム」。ネット接続も「ダイアルアップ接続」。今となっては懐かしい時代です。そんな状況の中、「テレビる毎日」はスタートしたんですね。ほんと、おめでとうございます。

さて、今回は私が考える役者のタイプについてお話しいたしましょう。大きく分けて二つのタイプの役者がいるように思います。仮りにそれを「感情派」と「技術派」と呼ぶことにしましょう。

「感情派」は、その時その時で感情をぶつけていくタイプの役者です。芝居上の細かい計算よりは、その時の感情を大切にして表現するので、そのエネルギーは物凄くて、見る人の心を捕らえます。同じシーンを演じる度に、芝居が少しずつ違ってくるかも知れませんが、そのために、時に予想もしないような感動的なシーンになることもあるでしょう。「役を役者が演じるタイプ」と呼んでもよいかも知れません。

「技術派」は、技術で演じていくタイプです。芝居の構成を細かく計算して、その上で最適な表現方法で演じていきます。そのため、何度演じても毎回、同じ間、同じ動き、同じ芝居をこなす事ができるでしょう。どんな役柄の役でもこなす事ができるでしょう。演技表現の微妙な修正も可能なので、監督の考える最も効果的な演技で、見る人を引き込んでしまう事でしょう。「役者が役になりきるタイプ」と呼んでもよいかも知れません。

この二つのタイプ、どちらが「役者」として正しいという事ではなくて、どちらも非常に魅力的な事だと思います。

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