テレビる毎日は2017年9月1日で開局20周年を迎えました。
特別寄稿
20周年記念に向けて、局長のネット友で、テレビで活躍している方々からいただいた特別寄稿です。
とにかく、その撮影のスピードは尋常ではありません。役者側としても、「今撮影しているのがどのセリフの後のカットなのか」が混乱してきて訳分からなくなる事もしばしばでした。すごい時代でした。
現場の緊張は、その撮影方法だけではないんです。とにかく、NGを出す事ができないんです。
当時の撮影には未だフィルムが使われていました。フィルムという物は、当時からとにかく高価で、現像するにもかなりのお金が必要です。そして、今のビデオテープやハードディスクとは違い、当たり前の事ですが、使い廻しができないんです。NGが出れば、その部分は廃棄処分するだけで、上書きなんてできません。役者もスタッフも真剣勝負です。
今ならば、写ってはいけない物が写り込んでいたとしても普通に撮り直すだけの事でも、当時はそういう訳にもいきません。フィルム代や制作費がどんどん嵩みます。それに、現在ならば撮影直後にビデオを再生してチェックする事ができますが、当時はそんな事ができません。カメラマンが「OK」と言ったら「OK」なんです。
ですから、本番になると、役者はもちろんですが、カメラマンの目によるチェック、照明器具や録音部のマイクが写り込んでいないかのチェック、小道具さんによる装備品チェック、大道具さんによる背景チェック、メイクさんに衣装さんによるチェックなどなど。その緊張感といったら、今の比じゃないと思います。