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■京都映画セミナーレポート

記事:太秦小雪(2002年2月13日)

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注1

  • 好きな言葉…無心
  • うれしい時…欲しい物が手に入った時(欲しい熱帯魚があるが、高くて手が出ない。趣味は熱帯魚と盆栽)
  • 好きな食べ物…好き嫌いは無いが、たばこは大好き
  • にがてな物…かえるとへび
  • 大好きな唄…美空ひばりさんの唄が好き。特に「愛さんさん」
  • 尊敬する人…おごらない人
  • ホッとする所…自宅

▲掲示板書き込みより

 最後にかんたんな10の質問(質問や回答は *注1の通り)。でもそれら回答はすぐに出てこず「そんなん急に言われてもなあ、出てきまへんわあ(笑)」といちいち考え込む。だから、回答の多くは首藤氏の誘導によるところが大きい。

 印象的だったのは「生まれ変わったら何になりたいか」という質問。会場はもちろん「もう一度斬られ役になりたい」「役者でやりたい」と勝手に期待していたわけだが、福ちゃんは実に正直に「さあ・・・、わかりまへんなあ」と苦笑しながら困っていた。私はそこに福ちゃんという人がよく見えた気がする。福ちゃんは本当に自分の仕事をひとつひとつ、ただ一生懸命にやってきただけの人だと思った。講演会だからといって、身の丈以上の夢や豊富、かっこいい格言を述べるわけでもない。

 福ちゃんは「斬られ役ができなくなって、体が動かなくなっても、そば屋のおやじでもいいから芝居をしたい」と語った。

「ハリウッドでも通用しますよ、ねえみなさん。そば屋はその後でも」という首藤さんにも、会場拍手にも「いやはや」と苦笑して困ってしまう。ほんとうにかざり気のない方だ。

 福ちゃんはやはり役者なのだ。だから、福ちゃんという人間の素晴らしさを知るには、言葉より、やはりブラウン管や舞台を通じての、彼の魂のこもった芝居を見るのが一番だと思う。

 福ちゃんは時代劇が週二本しか放送されていない事実を残念そうに語る。時代劇がもっと盛り上がること、多くの人が時代劇を見るようになること、撮影所に活気が出て、福ちゃんをはじめ名も無き「どこかで誰かが見ていてくれる」人々の活躍の場がもっともっと広がること。ハリウッド進出より、そんなことの方が福ちゃんの夢に近いのではないか。

「水戸黄門と八丁堀の七人、あ、今度、三匹の侍というのが放送されます」という何気ない言葉に、場内から拍手が起こる。

 先にこの後行われたサイン会の模様を。「どこかで~」を会場で買われた方は、同時に各々の署名用紙に自分の名前を書く。それを見て福ちゃんが○○さんへ、とサインする。誤字や手間を無くすためだろう。福ちゃん、噂通り一生懸命にマジックを走らせる。本が閉じないように押さえている方と、次の方への配慮などをする方との共同作業。

 必死に書く?いや、それだけではなさそうだ。どうやら福ちゃんは目が悪いらしい。遠視なのか、用紙を目の玉に着くぐらいに凝視し、本に頭を着けるがごとく書きこむ。目がねをかけたら?コンタクトを付けたらいいのに? 福ちゃんはきっとこう言うだろう「そんな侍がおりますかいな」。

 サイン会に並んでいた人はざっと4~50人くらい。会場の4Fホールは収容人数400+20人。私達が居た予備会場は150席+立ち見。これ以上は消防法で入れられないと会場の方。演出、進行、ゲストすべてが完璧に近く、こんな良質のイベントが無料だったんだ、と恐れ入る。講演を後にする人々は皆笑顔、笑顔だった。

首藤さん「最後に、福本さん。今日起こしいただいた方々にご挨拶を」

福ちゃん「本日はみなさん、お忙しいところわざわざ足を運んでいただきありがとうございました」

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