佐久の風花・メモリアル

オリジナル短歌&エッセイ&気まぐれ日記

短歌(2/8)

雪掻き

ベランダに積みたる雪の純白を乱して雀の足跡つづく

小鳥らに餌はあるのか給餌台も十センチ余の雪を積みゐて

着ぶくれて道路の雪を丹念に掻けばじつとり背に汗にじむ

降りたるはなかなか解けぬ佐久なれば道路の雪も丹念に掻く

母の家と我が家と二軒分の雪掻きは夫と手分けの朝の忙しさ

左半身に未だ麻痺残る夫にして懸命に雪掻く姿尊し

睦月六日に降りてそれより雪の無きこの暖冬を恐れつつをり

エアコンの温度を下げて温暖化を阻止せむ微力なれども吾も

物陰の根雪解けたりわらわらと犬のふぐりの青そこここに

春に向く今年の速さ思ひつつ陽の庭先に蕗のたう摘む

2007年04月10日(火) 21時24分

新年身めぐり

カーテンを引けば飛び立つ鳥のゐて背より初春の光をこぼす

庭樹々の光りつつ軋む新年を青味増しきて隈笹さやぐ

この冬の寒さに負けず青々とパセリは庭の陽だまりにあり

すでに芽生え白き花持つはこべにて寒さを言ふは人間のみか

この庭に埋めたる犬のサニーをば思ひてゐたり頭の良さも

盛り土のだいぶ崩れてうら悲し犬のサニーの墓に手合はす

今日こそは雪になるやも暗みつつ定まらぬ雲の動き見てゐつ

ゆつたりと降り来る牡丹雪の美しさ気温はさほど寒くはあらず

わが庭の裸樹をたちまち包む雪その自在なる造形を愛づ

夕となり更に降りつぐ新年の雪は清らな白さに積むよ

2007年02月27日(火) 00時00分

孫のバレー発表会

バレリーナ夢見て嬉々とレッスンに通ふ五歳児よ今日初舞台

バレリーナのメイク難し口紅を引き終へほつと胸なでおろす

オールバックの髪を小さき髷に結ひ品良く踊る孫に眼細む

透ける茶の舞台衣装にひらひらと踊る五歳児の熊のプーさん

幼児科の六人が踊る熊のプーさん美音が一番上手と拍手

くるみ割り人形の舞台華やかに五歳児もしかとバレリーナなる

銀色の舞台衣装にキャンデーの踊りを可愛ゆき仕草に孫は

首傾げ或ひは腕組み飛び跳ねてバレーシューズに踊る五歳児

バレリーナの夢を果たせよくるくると踊る孫をば見つつ願へり

初舞台のお祝ひと歌友が花籠を孫にくれたり胸熱くゐつ

2006年11月13日(月) 00時00分

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著者

ルナ(土屋浩子)

昭和16年生まれ。長野県佐久市在住。昭和48年3月、「短歌新潮」入会、丸山忠治先生に師事。昭和60年12月、第一歌集「風花」を出版。平成19年6月、第二歌集「水辺の秋」を出版。平成20年11月没。

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